内科・消化器内科
内視鏡検査・健康診断

新大久保文化通り診療所

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コラム:気になるおなかの話

カプセル内視鏡〜ミクロの決死圏

2018.12

潰瘍性大腸炎

またもや昔の話となりますが、私が大学を卒業した頃の内視鏡はちょうど胃カメラからファイバースコープへの過渡期でした。胃カメラというのはまさしく、先端にカメラを搭載し、そのカメラに毎回、フィルムを装填する必要がありました。それに対し、ファイバースコープは先端にレンズがあり、ファイバーを通じて見える画像を手元のカメラで撮影する構造に進歩しました。その後、先端にCCDを搭載し、画像を電気信号に変換して電送するという電子内視鏡システムへと発展していきました。その当時、夢のまた夢であったのがカプセル型の内視鏡でした。カプセルを飲むだけで消化管の検査ができるという時代が来るとは思っていませんでした。

カプセル内視鏡の開発

科学技術の進歩により、2001年にイスラエルのGiven Imaging社が小腸カプセル内視鏡を開発し、実用化しました。イスラエルの会社の開発ということで、軍事技術が応用されていると当時話題になったものです。2007年10月には日本でも保険適用となり、2014年1月に大腸のカプセル内視鏡も保険適用となりました。技術的には画期的なもので、通常の内視鏡でアプローチできない部位、挿入困難な症例にとても有用なものですが、まだ観察のみで生検や治療などの機能はなく、画質や診断などにおいてもまだ発展途上です。今後、AIを利用した診断や、体外からのコントロールによる組織生検、治療手技など、飛躍的な進歩が期待されていますが、まだ先になりそうです。

ミクロの決死圏

カプセル内視鏡でいつも思い出すのが「ミクロの決死圏」という1966年に公開となったアメリカのSF映画です。東側の科学者をアメリカに亡命させる途中で敵側の襲撃を受け、科学者が脳内出血を起こし意識不明となってしまいます。科学者の命を救い、ミクロ化の時間延長に関する重要機密を手に入れるために、医療チームを乗せた潜航艇「プロテウス号」をミクロ化して血管内に注入し、脳の内部からレーザー治療を行うというストーリーです。ただし、ミクロ化した状態は1時間のタイムリミットがあり、1時間以内に任務を遂行し体内から脱出できるのか、しかもチーム内にスパイがいて妨害工作を仕掛けるというサスペンスの要素もある内容となっています。現代の医学的知識からみると、ちょっと無理のある設定や陳腐な描写もみられますが、原題の ”Fantastic Voyage” という言葉が表すように、多くの体内の光景の描写など幻想的で、CGのなかった古き良き時代の映像となっています。私は、DVD, Blu-rayを所有して何回も観ていますが、飽きることなく毎回楽しめています。

リメイクの企画

この映画と同じミクロ化した潜航艇で体内にという設定で、1987年にスティーヴン・スピルバーグ制作総指揮で「インナー・スペース」がつくられています。また、現在のCG技術で「ミクロの決死圏」をリメイクするという企画は以前からあり、’90年代末頃から、ジェームズ・キャメロン監督が意欲的で、2007年にはキャメロンが製作へ回り、ローランド・エメリッヒが監督すると20世紀フォックスが発表したこともありましたが、その後紆余曲折あり頓挫しています。さらに、2016年にギレルモ・デル・トロ監督がリメイクすることが決まりましたが、「シェイプ・オブ・ウォーター」の撮影やデル・トロ監督自身の休業宣言などもあり、現時点では『ミクロの決死圏』リメイクも中断しているのが現状です。

Fantastic Voyage

そもそも、プロテウス号の移動範囲は横隔膜より上に留まり、腹部を経由することはありませんでした。白血球などに襲われはしましたが、その他の化学的な攻撃には遭わずにすみました。今回は「おなかの話」からはだいぶ脱線してしまいましたが、将来ミクロ化した潜航艇に私自身が搭乗し消化管の観察をしてみたい気もします。でも、胃酸、胆汁、消化液、大量の腸液、100兆個もの腸内細菌との遭遇、さらに最後は糞便とともに排泄されるなど想像するだけでも恐ろしく、"Fantastic Voyage" になるとはとても思えないので、やはり遠慮したいと思います。