内科・消化器内科
内視鏡検査・健康診断

新大久保文化通り診療所

お問い合わせ・ご予約は03-5937-0610

お問い合わせ・ご予約は03-5937-0610

東京都新宿区百人町2丁目5-8
科研ビル1FMAP

コラム:気になるおなかの話

朝の下痢

2018.8

朝の下痢

下痢の症状を訴えて多くの患者さんが受診します。便秘に比べて多くの患者さんがはっきりと「下痢」という言葉を使います。しかし、その「下痢」という言葉を鵜呑みにするのは危険です。 よく話を聞くと、便の形状の変化から下痢と言っていることもあれば、単に排便回数が多いことも少なくないからです。
そもそも「下痢」にはちゃんとした定義があります。

下痢の定義

水様の便が排泄される症状であり、排便回数にかかわらず、1日の便の水分量(重量)が200 ml(g)以上である状態で、症状が1か月以上となる場合を慢性下痢としています。

慢性下痢 特に「朝の下痢」

下痢にはいろいろな原因や病態があるので、すべてを網羅して説明するのは難しいと思われます。そこで、今回は慢性下痢、特に「朝の下痢」に焦点を絞り、下痢という症状に対する鑑別診断のポイントについて、私が日常診療上で考えていることを述べたいと思います。
朝起きてから午前中のうちにだけ下痢の症状が出る人は多くいます。その原因はいろいろありますが、私の今までの経験からざっくり言って、次の3つの要因が単独もしくは複数がからみあって症状を呈しているように思われます。

  • 1)胃結腸反射
  • 2)過敏性腸症候群(下痢型IBS)
  • 3)胆汁性下痢

それぞれの詳しい解説はネット上に数多くのサイトがあるので、興味のある方は検索してみてください。

問診の重要性

まず、大腸癌や炎症性疾患など器質的疾患を見逃さないように、血便や発熱などの症状の有無についてよく聞くのが大前提です。その上で、病態を明らかにしていくために問診が重要で、内視鏡検査の必要性を考慮しつつ、主に下記のことを意識して聞いています。

下痢の始まるタイミング
  • 腹痛、便意で目が覚めるまたは起きてすぐ
  • 朝食の途中または食後すぐ
  • 家を出る頃から通勤・通学途中または着いてから
排便回数および便の性状の変化
  • 最初は硬便または普通便だが軟便〜水様便となっていく
  • 便の性状の変化はあまりないが、1回の排便で満足感がない
  • ずっと水様便
腹痛の程度と排便による変化
  • 常に腹痛を伴う
  • 排便によって腹痛に変化がある
  • 腹痛と排便に関係がない
食事の内容及びアルコールなど嗜好品との関連
  • 朝食の内容
  • アルコールやカフェインなどを含む嗜好品
  • それらの摂取状況と症状との相関

いろいろと細かいところまでを詳細に聞いていくと少なからず時間を要しますが、問診だけでかなり病態および診断が絞り込めるので面倒がらずに丁寧に聞く必要があります。問診から主な原因と考えられる要素に対してひとつずつターゲットをしぼって内服薬を中心に治療をはじめて行きます。例えば、IBSが主と考えれば、まずIBSの治療だけを行ってみてその効果を判断します。複数の治療を同時にはじめると、全体としての病態の把握が困難となるからです。

ひとつひとつ効果を確認して、最終的にはコーヒー豆やワインのブドウなどのように最適なブレンドの比率を模索していく作業になります。下痢の症状に何年も悩んでいる方は少なくないので、診断も治療も時間をかけて丁寧に行っていく必要があるのです。

具体的なアプローチの方法については別の機会に説明させていただきたいと思います。