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コラム:気になるおなかの話

朝の下痢 続き

2018.9

朝の下痢 続き

朝の下痢について、次の3つの要因が単独もしくは複数がからみあって症状を呈していると考えられると述べました。今回はそれぞれがどのような症状をもたらし、どのように対処していけばいいのかを述べたいと思います。

  • 1)胃結腸反射
  • 2)過敏性腸症候群(Irritable Bowel Syndrome; IBS)
  • 3)胆汁性下痢

便通異常の治療

便通は一般的に腸内環境・腸内の水分量・腸の運動機能の影響を受けます。したがって、下痢、便秘などの便通異常に対して、この3要素のコントロールを目標としますが、「朝の下痢」についてはもっぱら運動機能の調整を中心に治療します。

胃結腸反射

食べたものが胃に入るとそれが刺激になって結腸が動き始めます。特に朝食摂取後に「大蠕動」として大きく結腸が動き出し、内容物を直腸に押し出します。通常直腸内には便は無く、便が流入すると強い便意を引き起こします。便意を感じるのは早い人で食べ始めてすぐ、通常は食後それほど間をおかずに便意が生じます。胃結腸反射については、程度の差こそあるものの誰にでもあるものです。朝食の時間、内容、量などの違いが排便にどのような影響を与えるかなど、その排便パターンを把握することが大事です。そのことである程度排便のコントロールが可能です。

下痢型IBS

一般的にストレスがかかったときに強い便意を感じ、強い腹痛を伴うことが特徴です。排便により腹痛も消失します。食事との関連も強くみられますが、それ以上に通勤通学途中、試験前などストレスの影響が強く、生活上の障害を感じていることが多いのが一般的です。実際の生活上、ストレスの原因となるものをなくすことはほぼ不可能ですが、ストレスを自分で克服するというのも困難です。心がストレスに対応できないため、代わりに体の弱いところに症状がでてしまっているとも言えます。自分なりに付き合っていくしかないところもありますが、今は良い薬が多く出ているので、日常生活に支障を来していれば消化器内科または心療内科に相談するのもよいでしょう。ただし、若い人であっても大腸炎などの器質的疾患のあることもあり、中年以降であれば大腸癌などの悪性疾患の可能性もあるのでまずは消化器内科の受診をお勧めします。

胆汁性下痢

その日の最初の食事の後、1~2時間後に起こる下痢です。食事により分泌された胆汁が大腸に流れ込むことによって生じる下痢で、腹部に強い痛みは伴わないことが特徴です。しかも1回または数回にわたって便を出してしまった後は症状が回復します。下痢止めの薬が効かないことが多く、ストレスの関与はありません。以前より回盲部などの小腸の切除後に、本来再吸収されるべき胆汁酸がそのまま大腸に流れこむことにより下痢を来すことは知られていました。最近、手術歴がない場合にも胆汁の関与で下痢の症状がおこることがわかってきましたが、今までその多くがIBSとして治療されていたようです。高脂血症の薬であるコレスチミドなどは胆汁酸を吸着して血中のコレステロールを下げますが、副作用として便秘を来すことが知られており、逆に胆汁性下痢に有効であることがわかっています。胆汁が多く出ないような食事の工夫が必要ですが、食事療法だけでコントロールがつかない場合には使われる場合もあります。ただし、保険では適応がないので注意が必要です。

腸との対話

以上のようなことを考えながら、食事の工夫や生活指導、薬物療法などを組み合わせて対処していくことになりますが、毎日すべてが同じ日はありません。食事の時間、内容も違えば生活上のイベントも異なるのが当たり前です。毎日の変化に対応するには、常に「腸との対話」をかかさず、時にはなだめたり、励ましたり、おだてたりしながら腸と付き合っていくことが必要になります。腸は「第2の脳」ともいわれる臓器です。腸の声にしっかりと耳をかたむけてみてはいかがですか。