内科・消化器内科
内視鏡検査・健康診断

新大久保文化通り診療所

お問い合わせ・ご予約は03-5937-0610

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科研ビル1FMAP

コラム:気になるおなかの話

変わりつつある便秘のくすり

2019.2

逆流性食道炎

当院は消化器内科を主に診療していることもあり、通院されている患者さんの多くが下剤を内服しています。下剤を定期的に内服はしていなくても便秘の症状で悩んでいる人は多く、一言で「便秘」といっても、患者さんに症状にはかなりの違いがあり、特に高齢者では難治性の便秘もみられます。

便秘の定義

世界共通の便秘の定義はありませんが、日本では慢性便秘症診療ガイドラインで「本来体外に出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」と定義されています。具体的には、3〜4日以上便通がない場合に便秘といわれますが、排便があっても量が少ない場合や、硬便のため腹部の不快がみられる場合にも便秘と表現されます。さらに、週2回以上排便がない状態が少なくとも1ヶ月以上続いている状態を慢性便秘としています。

便通に影響する因子

便通は、便の硬さ(水分量)と排便回数で表現されます。便通に影響する因子として、次の3つがあります。

  • 腸内環境
  • 腸内容物の水分量
  • 腸の運動機能

便秘の治療にあたっては、これらを調節することによって便通を整えて行きます。具体的には、腸内環境は、腸内細菌(フローラ)の改善であり、「プロバイオティクス」「プレバイオティクス」などによるアプローチがなされます。薬物療法は主に水分量の調節と運動機能の改善などに作用します。

薬物療法の種類

古くから用いられてきた下剤は多数ありますが、現在実際に使われているもののほとんどは下記に分類されます。

  • 塩類下剤
  • 膨張性下剤
  • 刺激性下剤(アントラキノン系、ジフェニール系)

塩類下剤:マグネシウムイオン、硫酸イオン、クエン酸イオンなどは、腸壁では吸収されないため、腸内容液が体液と等張になるように水分が腸管腔内へ移行し、便を軟らかくします。酸化マグネシウム,クエン酸マグネシウムなどがあります。

膨張性下剤:便を膨張させ、かさを増すことにより腸を刺激し蠕動を促進させて排便を促します。

刺激性下剤:アントラキノン系(センナ,センノシドなど)とジフェニール系(ピコスルファートナトリウム)があり、腸の神経を刺激して腸管の運動を高めることによって排便を促します。

最近まで上記の薬剤を単剤または併用しながら便秘の治療をしてきましたが、その副作用も多く、必ずしも満足な便通を得るとはいえない状況でした。

新しい下剤

ここ数年で新しい機序による下剤が次々と使えるようになってきました。

ルビプロストン(アミティーザ®):2012年11月発売。世界初のクロライドチャネルアクチベーターで、小腸からの水分分泌を促進することにより自発排便を促します。

リナクロチド(リンゼス®):2017年3月発売。グアニル酸シクラーゼC受容体アゴニストで、当初の適応は便秘型過敏性腸症候群のみでしたが、2018年8月に慢性便秘症の適応追加承認を受けました。大腸の痛覚過敏を改善することにより、腹痛・腹部不快感を改善する作用もあります。

エロビキシバット(グーフィス®):2018年4月発売。胆汁酸の再吸収に関わるトランスポーターを阻害することで、大腸に流入する胆汁酸の量を増加させ、水分分泌と大腸運動促進の2つの作用で自然な排便を促します。

モビコール®配合内用剤:2018年11月発売。大腸内視鏡検査の前処置にずっと使われてきたポリエチレングリコールを成分として、慢性便秘に対する治療薬として開発された薬剤です。すでに世界では成人だけではなく2歳以上の小児においても使用が可能です。主成分のポリエチレングリコールの浸透圧効果により、腸管内の水分量を増加により便が軟化、便容積が増大することで、生理的に大腸の蠕(ぜん)動運動が活発化し、排便が促されます。また、水に溶解して服用するため、適切な硬さの便がみられるまで適宜増減が可能です。

新薬については、発売後1年間は2週間分しか処方できないという制約がありますが、それぞれの薬剤の効果の手応えは十分なものがあり、今まで選択肢の少ない中で古い下剤の乱用などで苦労してきた患者さんの福音となるのではないかと期待しています。