内科・消化器内科
内視鏡検査・健康診断

新大久保文化通り診療所

お問い合わせ・ご予約は03-5937-0610

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コラム:気になるおなかの話

内視鏡に上手い、下手ってあるの? その1

2019.5

私は大学を卒業してから去年当診療所に来るまで、30年以上にわたっていわゆる研修病院に勤務してきました。「日本消化器内視鏡学会の指導施設」で、先輩、後輩など数多くの消化器内視鏡医を見てきました。さらに指導医として20年以上若き内視鏡医の指導にも携わってきました。当診療所の近くの某病院でも内視鏡センター長を10年以上勤めさせていただき、多くの内視鏡医の検査を見てきました。

他の医師の検査に興味を示さない人も少なくありませんが、私は指導医という立場もあり、自分で検査するより他の人の検査を見ることに多くの時間を割いていました。最近の研修病院では同時進行している複数の検査をリアルタイムにモニターでチェックできるようになっているので、3〜4人の検査を同時に見ていることが日常でした。

幸いこのコラムを見に来てくれる人は少ないようですので、一般の人が気になる「内視鏡検査の技術の差」について本音に近い話をこっそりさせていただきたいと思います。炎上は避けたいので、内容は他言無用にお願いいたします。

複数の医師が検査を担当する大きな病院で時々あるのが、「上手な先生」や「ベテランの先生」でお願いします、という希望です。かつて苦しい思いをしたことのある患者さんにとっては切実な問題で、実体験によって医師による差を実感しているからこその希望だと思います。希望はほとんどの場合、事務の人や看護師などを通じて伝えられ、私のところにも話が来たこともありますが、そのたびに感じるのが「私は別に上手でもベテランでもなく、まだまだ発展途上に過ぎない」という気持ちです。正直なところ、内視鏡検査は徹底的な観察をしようとすると時間がかかり、逆に時間がかかると患者さんの苦痛が大きくなります。内視鏡検査には完璧はあり得ないのではないかと思うくらいです。大腸はその走行や長さの個人差が大きく、挿入そのものに経験と技術の差が出てしまいますが、上部消化管も意外と難しい人もいます。

人間には生まれ持っての器用、不器用があり、挿入技術の習得にはやはり影響があるようです。大学卒業後の研修期間中に内視鏡検査を始めますが、覚えの良い、悪いは実際にあります。短期間で手際よく内視鏡検査をこなすようになる研修医もいれば、いつまでたっても時間がかかってしまう研修医もあり、要領の良い研修医はどんどん症例を重ねてますます上手になって行くのに対して、時間のかかる研修医は経験数も思うように増やせないでいるという状況は、いつの時代にもあったことです。これは内視鏡検査に限らず、技術の習得を必要とする分野共通の問題かもしれません。

それでは技術の習得の早い研修医が本当に上手な内視鏡医になっていくものなのでしょうか。長年数多くの内視鏡医を見てきた経験からいうと、実際はそう単純なものではないようです。いわゆる「小器用な」内視鏡医が数多くの検査をこなしていくことにより、検査が雑になってしまうこともあります。逆に「不器用な」内視鏡医が慎重にひとつひとつの検査を丁寧に重ねていくことによって、精度の高い検査を行うようになることもあります。

長くなってきたので続きは次回にしたいと思います。